大学の総合型選抜が増加

創心館 高等部

『総合型選抜』とは何か?

 従来の大学入試はペーパーテストで合否が決まりますが、『総合型選抜』は以前までAO入試と呼ばれ、志望理由書・面接・小論文などで「主体性」や「表現力」を問う方法です。かつては「一芸入試」と呼ばれていたこともありました。一芸に秀でている人が受ける受験方式というイメージがありますが、いまは一定の学力も必要で評定平均値(高1からの内申点)を出願条件にする大学もあります。たとえば立命館大学では数学の講座を高校3年のうちに約1か月、タブレットなどで受講することを出願条件としています。つまり学力試験を課す一般入試とそれほど大きな変化はなくなってきています。

増える総合型選抜

 文科省が発表している資料によると、2000年度ではわずか1.4%だった総合型選抜(旧AO入試)の入学者は、2021年度には12.7%と約9倍に増加しています。2021年度の「国公立と私立を合わせた全ての大学入学者」のうち、一般入試で入学した人は49.5%だったのに対して、総合型選抜や推薦入試で入学した人は50.3%と全体の半分以上でした。このように、総合型選抜と推薦入試をあわせると入学者全体の半数に達していて、偏差値にとらわれずに大学合格するチャンスが増えているのです。2022年度以降もこの傾向は変わっておらず、もはや大学入試の新しいトレンドとして定着してきた感があります。

総合型選抜のスケジュールって?

 現在、総合型選抜の出願開始は、9月1日以降と定められています。ただし、学校推薦型選抜や一般選抜ほど入試日程が特定の時期に集中しておらず、大学によってさまざまです。また出願前に「エントリー」が必要な大学も多くあります。エントリーとは総合型選抜で受験する手続きのようなもので、早ければ6月ころからスタートします。志望理由などを記入したエントリーシートを提出し、それに基づいて出願前に面談を行う大学もあります。エントリーシート提出と同時に課題提出などが求められるケースもあります。つまり、総合型選抜で受験しようと思ったら早く動き出す必要があります。オープンキャンパス参加が出願条件となる大学もありますので、夏休み前には志望校を検討しておく必要があります。

総合型選抜対策のポイントは?

 総合型選抜では、志望分野に関する学習への意欲など、入学後の学びに関連する部分が問われる比重が高くなっています。そのため、学びたい分野について関心をもつようになったきっかけ、今までに探究してきたこと、探究の過程で発見した課題、その課題に大学でどのように取り組んでいきたいかなどを、自分を軸とした一連のストーリーとしてしっかりと書き、語れるようにしておくことが大切です。志望理由書と面接で話すことの整合性もチェックされるので、付け焼き刃で志望理由書だけうまくまとめてもダメです。本当にその分野に関心を深めていなければ、面接でボロが出てしまいます。

資格や検定は評価の対象になる?

 語学検定を評価の対象とする大学・学部はふえています。大学・学部によっては中国語など、英語以外の検定も評価の対象とされることもあります。語学検定などは出願直前の短期間で級・スコアを一気に上げるのは難しいので、できるだけ早いうちから対策をしておくことが重要になります。そのためにも志望校を早めに決める必要があり、高3になってから準備を始めていては遅いのです。総合型選抜で受験したいのなら高1・2年生の間に、自分は何に興味があるのか、将来自分は何をやりたいのか、そのために何を学ぶ必要があるのかなどについて、普段から意識して生活することが大切です。

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